アデノウイルスは1953年にヒトのアデノイドや扁桃組織から分離されたのでアデノウイルス(Adenovirus)と命名された。 ウイルスの形態は直径70−90mm
の正二十面体の粒子である。 アデノウイルスは現在49の血清型に分離されている。 この中で7型は他の型にはみられない強い毒力を持っている。 7型は1955年に米国の軍隊で、かぜ症候群、俗に「新兵熱」の原因ウイルスとして発見された。 日本では1958年に東京の小学校、自衛隊の咽頭結膜熱(プール熱)の流行時に患者からはじめて分離され、厚生省から注意を促す通達が出された。 しかしその後40年ほど流行が無く厚生省感染症サーベイランスが開始された1982年以降1994年までの12年間でわずか29例の7型分離報告があったのみである。1995年になって急に増加しはじめ1997年には282例を数え7型は日本における再興感染症として注目された。 1995年以前に日本で分離された7型と現在流行している7型では遺伝子型が異なることが判明している。
[臨床症状] 主な症状は上気道炎、下気道炎、胃腸炎、角結膜炎である〈図1〉。 下着道炎〈肺炎〉、胃腸炎の発生率が高く、発熱は最高体温40度以上が全体の49%を占める。 有熱期間は9日、長いもので12日間という報告がある。
このように7型は重症になりやすく、特に新生児や心肺機能に基礎疾患を有する小児が感染すると後遺症や死亡を引起す危険がある。
[流行時期] 年間を通じて散見されるが主に初夏から夏に多くみられる。
[感染年齢] 感染年齢は0−4歳が56%、5−9歳が35%を占めてる〈図2〉。
[予防と対策]日本には長い間7型の流行がなかったために40歳以下の日本人は7型ウイルス対する抗体が無いので感染を受けやすい。保育園、学校など長時間一緒に過ごす所では感染が広がりやすく、高熱でインフルエンザに似た症状で休む子供が出た場合は7型感染を疑う必要がある。 また、感染者の唾液、便から多く排泄され経口感染をするのでこれを断ち切ることが必要である。
一般対策として
1) 食前、食後、外出後に流水による石鹸での丁寧な手洗い。
2) 患者の糞便処理に注意する(特におむつ等)。
3) アデノウイルスは脂質を持たず逆性石鹸に耐性であるのでイソジンによる消毒を行う。
集団発生に対しては
1) 保育園、学校:7型による咽頭結膜熱(PCF)の集団発生は夏季にプールを介して起きるので7型感染を疑われる子供は出席を見合わせる。
2) 病院:流行が起きたときは基礎疾患児を個室に移し院内感染を遮断する。 特に臨床医からの情報の公開は院内感染対策に必須である。
